元宵節(旧暦1月15日)の前後に馬祖列島の北竿を訪ねると、ちょうど「擺暝文化祭」が行なわれていた。「排夜」というのは、福州の方言で「夜を並べる」という意味である。元宵節の期間中、北竿の村落ごとに神を祭る日を取り決め、夜間に供物をささげて儀式を行なうというものだ。これは馬祖列島の重要な祭典で、就学や仕事のために馬祖を離れて台湾本島に暮らしている人々も、みな帰省して盛大な祭典に参加する。
馬祖の大きな特色を成すランドスケープと言えば閔東(福建東部)様式の建築物で、中でも最も保存状態のよい集落は北竿の芹壁村に残っている。山を背に海に臨み、斜面に沿って建てられた石造りの民家が美しく並んでいる。傷んでいた古い民家も修繕されて生気を取り戻し、こうした建物が、今では民宿やレストランとして再利用されるようになった。ここに滞在して海を眺めながら、何もせずにゆっくりと時を過ごせば、シンプルな幸福感に満たされるに違いない。
北竿の芹壁村、山を背に海に臨み、花崗岩で建てられた民家が並ぶ。馬祖で最もよく保存されている閩東(福建東部)様式の集落である。
馬糧文化祭の期間中、古い民家である坂里大宅には住民の幸福を祈って平安風燈が掲げられる。
旧暦1月13日に行なわれる坂里十三暝馬糧文化祭のクライマックス。各村落の神輿が坂里に集まって神をお迎えし、それから街を練り歩く。
街の家々は「馬草」を燃やし、白馬尊王の乗る馬に捧げる。
砂浜に簡単な足場を組み、漁船を修繕してペンキを塗り替える。