台湾の温泉 その文化と物語
2025 / 1月
フィリピン海プレートとユーラシアプレートの作用で生まれた台湾には豊かな山脈と地熱資源がある。今月のカバーストーリーは台湾各地の温泉を中心に、そこから生まれた景観や物産、文化など地域に根差した観光資源をご紹介する。北投の緑色硫黄泉が実はラジウム温泉であることをご存じだろうか。共同浴場「瀧乃湯」はなぜこれほど地域に根付いているのか。緑島の朝日温泉で温泉卵を作ると、なぜ黄身がとろとろにできるのだろう。宜蘭県蘇澳の冷泉公園周辺の旅館では、炭酸泉に入れることをご存じだろうか。カバーストーリーでこれらの答えを見つけていただきたい。
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カバーストーリー
百年の歴史と物語
味わい深い北投温泉の旅
台湾の温泉文化は台北市の北投温泉から始まった。近年は『ミシュラン・グリーンガイド台湾』でも三つ星の評価を得ており、国際的な観光スポットとして知られている。北投には、世界でもここと日本にしか......
我が家のお風呂へどうぞ!
北投「瀧乃湯」に見る 共同浴場100年の文化
MRT新北投駅周辺には商店が林立してにぎわっているのと対照的に、光明路にある「瀧乃湯」温泉浴場は、まるで俗世と隔絶されたかのように、百年前の伝統的な浴場の空間と雰囲気をそのまま残している。......
太平洋の日の出と星空を抱く
緑島の海底温泉――朝日温泉
台湾は日本の影響から温泉文化が盛んで、離島の緑島にも珍しい「海底温泉」が開かれた。日本の九州、そしてイタリアのシチリアと並ぶ世界三大海底温泉の一つである。......
一年中22℃の冷たい炭酸泉
冷泉の里――蘇澳
夏に涼をとるなら冷泉に入るとよい。だが、寒波が襲う冬の日にも冷泉は心地よい。通年平均22℃という冷泉に身を沈め、しばらくじっとしていると、身体が芯からじわじわと温まってくる。たくさんの気泡......
東海岸の小さな町
――蘇澳を散策
宜蘭県の蘇澳は太平洋に面し、三方を山に囲まれている。七星嶺の麓に発展した町で、かつては「蘇澳蜃市(蜃気楼)」として「蘭陽八景」のひとつに数えられた。ここは鉄道と港、道路が交差する、交通の要......
道なき道の果てに――
大自然に抱かれた「野湯」の魅力
豊富な地熱と温泉資源に恵まれた台湾では、深山幽谷や河原などに野湯(自然の中に湧き出し、商業利用されていない温泉)が隠れている。滝や絶壁に囲まれた秘境にある原始のままの野湯は、多くのアウトド......
集落の野湯を楽しむ
――芃芃温泉とタイヤルの暮らし
ネット上で、最も身近な「野湯」と呼ばれる「芃芃温泉」は宜蘭県大同郷の英士村にある。駐車場に車を止めて15分ほど歩いていくと、緑の山に囲まれ、滝もある温泉に到着する。ここでは、芃芃渓とともに......