「夢中になる」のは決して青春だけの特権ではなく、人生につきものである。あなたは何かに夢中になって、人生の道に少し迷ってしまったことはないだろうか。
近年、起業をめざす若者の動機と情熱と行動力は高まっているが、起業には一定のハードルがある。ふさわしいオフィスを探すだけで大変だし、資金もかかる。そうした中、小規模な起業を志す人が多いからか、若者たちは「シェア」の概念を受け入れている。台湾ではコワーキングスペースが新たな起業モデルとなっているのである。必要な機器や工具や設備が整ったスペースに、複数の小規模な起業グループが一緒に入居する。それぞれが独立して仕事をしながら、休憩時間には皆でおしゃべりをしたり、経験や人脈をシェアしあったりする。
今月号のカバーストーリーでは、台湾の北部から南部まで五つのコワーキングスペースをご紹介する。若い起業家の多様な姿と、シェアと協力が生み出す価値に触れていただきたい。
もう一つのシェアの物語として、苗栗県出身の彫刻の大家・康木祥をご紹介する。彼は台北101ビルの廃棄されたエレベーターのワイヤーを用い、世界で唯一の大型スチールワイヤー作品、オリエンタルなスタイルの「生命如意」を創作した。この作品はドイツのカールスルーエの都市建設300周年を記念して同市に贈られ、市内の広場に設置されて、日々多くの人と出会うこととなる。康木祥のこの作品は、廃棄ワイヤーに新たな生命を吹き込むと同時に、台湾とドイツとの友好にも大きく貢献する。まさにシェアのパワーと言えるだろう。