深まる友好の証明
リトアニアブームは、台湾に暮らして6年余りになるリトアニア人のAusra Andriuskaiteさんの目にも明らかだ。以前は、リトアニア出身だと言うと、10人中9人から「どこにあるんですか」「ソ連の一部ですか」などと聞かれた。
しかし、リトアニアが台湾にワクチンを供与してからというもの、どこへ行っても歓迎されるようになった。タクシーに乗ってリトアニア人だと言うと、運転手は「リトアニアは台湾の大切な友人です。お金はいりません。あなたを乗せることができて光栄です」と言ってくれたそうだ。
笑顔の美しいAusra Andriuskaiteさんは、こう語る。「リトアニアと台湾には多くの共通点があります。どちらも面積は広くなく、隣に『世話』をしてやろうとする人がいますが、私たちは『兄貴』はいらない、と思っているのです」
侵略と戦火の歴史を経てきたリトアニアは、第二次世界大戦前にはナチスに占領され、その後はソ連に編入された。独裁政権の迫害を逃れようと、多くのリトアニア人が海外へ逃れ、54の国にリトアニア人の団体があると言う。
台湾に長いAusra Andriuskaiteさんは2020年に、世界で49個目の在外リトアニア人団体となる台湾リトアニア協会を設立した。台湾に在住するリトアニア人は留学生を含めて100人に満たないが、クリスマスやリトアニア独立記念日には特別な祝賀活動を行なっている。
Ausra Andriuskaiteさんは、娘がリトアニア語を学べるよう、台湾で学齢児童のためのオンラインのリトアニア語学校を設立した。日本や韓国、オーストラリア、ヨルダンなど12ヶ国に暮らすリトアニア人の子供20数名が、オンラインで一緒に母語を学び、歌を歌い、物語を聞いたり、手工芸をしたりする学校だ。このオンライン学校は、すでにリトアニアの教育省から認められ、サポートを受けている。
リトアニアはベリー類の産地として知られ、イチゴやゴールデンベリーの入ったチョコレートはRutaの看板商品である。