金融包摂の理想
呉侑勲は「テクノロジーを活用した金融は、高い効率と低コストを実現しなければなりません」と言う。移住労働者が祖国に送金する場合、銀行なら手数料は1件500~600元(約15米ドル)だが、東聯の場合は150元(5米ドル)ですみ、より良いレートも提供する。取引も迅速で、24時間以内に受取人に届く。
だが想定外だったのはデジタルや情報の格差だ。例えば、2019年にインドネシアの小さな島から来た人は台湾に来るまでスマホを使ったことがなかったので、サービス担当者はアプリのダウンロード方法を教える前に、まずスマホの使い方を教えなければならなかった。
東聯互動のサービス担当者はすべて、結婚や留学で台湾にやって来た東南アジア出身者だ。「うちが台湾の会社だとわざわざ言わなかったら、インドネシアの会社だと思われるかもしれません」と呉侑勲は言う。
現在、台湾の移住労働者のうち最も多いのがインドネシア人とベトナム人で、東聯互動の顧客の65%を占める。フィリピン人は3番目で、タイ人が最も少ない。台湾は将来、インドからの労働者も受け入れる予定なので、東聯互動でもインドへのサービス展開を計画中だ。
東聯互動は2022年に金融監督管理委員会(金融庁に相当)によって国際送金取扱いの認可を受けた2番目の企業(非銀行系)となった。2023年には業績も飛躍的に成長し始め、連結営業収益は前年比108%増の3億4100万元となり、2024年1~4月の自己決算による収益は累計1億3900万元で、前年の同時期に比べて47.29%増加。1株当たり利益は3.02元で、すでに前年度の3.01元を上回り、継続的な成長が見込まれている。
呉侑勲は、スタートアップ、そしてフィンテック企業としてさらなる前進を続ける覚悟だ。「政府、移住労働者、スタートアップの三者がいずれも恩恵を受ける、こんなビジネスモデルはめったにありません」と笑顔で語った。
台湾在住の外国人配偶者が母国語を使って移住労働者にサービスを提供している。
東聯互動は顧客との交流を深めるために抽選でプレゼントが当たるイベントを行なった。(EUI IndoMoney提供)