NUが集会場所を提供
2017年の大晦日、MRT中山地下街を長安西路に出た辺りの路地では、ムスリムの服装をした人々が1軒の民家に集まっていた。靴を脱いで緑の絨毯の上にきちんと座る。礼拝が始まるのだ。
例年と異なり、今日はNU台湾分会会長の息子の結婚式もあるので、他県・市からも会員が参列し、久しぶりだねと挨拶が交わされていた。台所から美味しそうな料理が運び込まれ、彼らは車座になって世間話をしながら食べ始めた。夜が更けるにつれ、町ではニューイヤーズイブの賑わいが増す中、ここでも祝賀ムードが高まっていた。
決して広くはないこの集会場所は土曜夜と日曜にだけ開けられる。NU青年女性部もここに女性会員集会場所を設けている。同台北支部会長のTarnia Tariさんは来台11年、現在介護の仕事をしながら日曜の休憩時にNUの事務をこなす。彼女によれば、台湾で働くインドネシア人には女性が多いため、女性だけの集まりを持って助け合い、ケアをするのが、NU総会の願いだという。現在は台中と彰化にも青年女性部支部がある。
NUがムスリムにとっていかに大切か、Tariさんはこう語る。教義を重視するイスラム教は、聖職者イマームによる説教を毎日聞くことを勧める。「NUに参加すれば、定期的にイマームの話を聞けます。毎月1~2回は規模の大きい布教活動があって、大イマームを台湾に招くこともでき、私たちはそれをとても楽しみにしています」しかも今やソーシャルネットワークでグループを作り、各自が同じ時間にスマートフォンを通してイマームの話を聞くこともできる。それは台湾のムスリムにとって大切な日課だ。
労働部の統計によれば、2017年11月末までに台湾で働く外国人労働者は67万人、そのうち26万人近くがインドネシア出身で、またその9割がムスリムであり、台湾のムスリムの多数を彼らが占める。台北、中壢、桃園大園、台中、台南、高雄、屏東東港などにはモスクがあるものの、労働時間の長い彼らにとって、たびたび足を運ぶのは難しいし、モスクは駅の近くにあるわけでもない。だが台湾のNU支部はほとんどが駅の近くにあり、集会も毎月第2、第4日曜と決まっていて覚えやすいので、台湾ではほぼモスク代わりの機能を果たしている。
「かつてインドネシアのムスリムは礼拝の場所を探すのに苦労しましたが、熱心なムスリムたちによって台湾NUが作られ、NU総会の全面的協力を得られました」台湾NU設立後、自ずと台北駅が礼拝の場となっていたが、3カ月に1度しか開けなかった。2014年にやっと長安西路に場所を見つけ、毎週日曜の礼拝と毎月の大型礼拝も行えるようになり、信徒の帰属の場ができた。
NUはインドネシア出身のイスラム教徒に帰属感をもたらし、台湾での重要な心の支えとなっている。