新技術:マイクロLED
2010~2012年にはさらに重要な変化があった。韓国メーカーがハイエンドのディスプレイ技術である有機EL(OLED)の開発に取り組み始め、十年をかけて市場の主導的地位とシェアを取ったのである。しかし、最近は中国大陸のメーカーが政府から大量の助成金を得て、有機ELは価格競争に陥り、台湾メーカーも脅威にさらされた。
ちょうどその頃、もう一つの技術であるマイクロLEDが登場し、アップルやサムスンなどの大手がこの新技術開発に取り組み始めた。
マイクロLEDとは、ミリ単位のLED(発光ダイオード)を10マイクロメートルまで微細化したものである。
PlayNitrideの李允立CEOによると、2011年、マイクロLEDはまだ学術研究の段階にあり、製品化は「ほぼ不可能」と見られていた。
台湾大学光電研究所(大学院)の教授だった李允立は「ほぼ不可能」には2種類があると説明する。一つはドラえもんの「どこでもドア」のような物理的な不可能、もう一つは技術的な不可能で、マイクロLEDは後者に属した。
人の髪の毛の直径は50~100マイクロメートルだが、肉眼では判別できない30マイクロメートル以下のLEDを(ARグラスに使用されるLEDは2.5マイクロメートル)敷き詰めて4K画質を実現するには2600万個のLEDが必要となる。これほど多くの微小なマイクロLEDをドライブパネルに敷き詰めてディスプレイにするというのは、原理はシンプルだが、きわめて困難な技術である。
自動光学検査装置(AOI)によって高速かつ高精度の光学検査ができる。(PlayNitride提供)