医療観光の新たなトレンド
台湾東部の重要な医療センターである花蓮慈済医院(以下、花慈)は、再生医療(幹細胞治療)における主要な医療センターであり、はるばる海外から治療を受けに来る患者も多い。花慈は今年(2024年)、花蓮の中央山脈の麓に位置するGaeavilla Resortと協力し、国際医療観光プランを打ち出した。長期的な医療が必要な患者とその家族は、ホテルで美しい風景を楽しみながら療養し、治療や再診が必要な際は専用車が病院まで送迎する。質の高い医療を受けようと訪台する人たちは、良質なリゾートに滞在して「入院せずとも、治療とヘルスケアができる」のだ。
新光グループは医療資源を活用し、新北市板橋区都市圏に全年齢対象の健康管理サービス付き住宅「ジャスパーヴィラ板橋」を建設した。短期賃貸型ホテル、長期型の全年齢向け住宅、そして健康診断や産後ケアセンターを提供している。呂炳賢董事長によると、全年齢向け住宅には、岩盤浴や炭酸水素塩泉などの健康増進設備があり、健康管理士が常駐して相談に応じる。計画のコンセプトは、入居者の健康増進ニーズと、家族や友人の訪問や滞在の利便性を考慮したもので、家族の絆を重視する社会の文化に合致している。桃園市亀山区にある長庚養生文化村(以下、養生村)には、健康、亜健康、要介護の各状態にある60歳以上のシニアが入居している。桜やラクウショウの木に囲まれた静かな山林に建てられた養生村の環境は快適で、高齢者の生活を豊かにするための様々な講座もある。かつては高齢者にとってタブーだった生と死の問題、遺産計画、緩和ケアなどは、今や人気の講座テーマとなっている。
養生村では、入居者が長庚医院に通い、大型スーパーに買い物に行くための送迎バスも運行している。管理部責任者の杜素珍さんによると、「入居者の4割が海外からの帰国者で、さらに2000人が入居待ち」とのことだ。
米中在住経験が長く、4年前に妻と共に台湾に戻りこの養生村に入居した馮さん(65)が、太鼓教室の後にインタビューに応じてくれた。「ここは医療の質も良く、生活も便利でね、入居者同士も仲が良くて、想像以上に良いですよ」と話す。
「医療サービスはブランドと信頼の上に成り立っています」と語るのは新光医院の洪副院長だ。
レジャーと医療を組み合わせるのが旅行の新たなトレンドとなっている。台湾には豊かな自然や文化があり、医療界は豊富な医療経験を蓄積している。台湾での医療観光を計画して、高品質の健康診断や美容医療などを体験したり、専門的な医療ケアを受けたり、山や海の景色に囲まれ心身を癒したりしてみてはいかがだろう。
台北医学大学付設医院伝統医学科の蘇柏璇医師によると、鍼灸治療、科学的根拠に基づいた漢方薬やティーバッグ仕様の漢方はいずれも不調の改善に役立つという。(撮影:郭美瑜)
台湾は、世界でも数少ない中医学と西洋医学の二本立てシステムを採用する国だ。(撮影:郭美瑜)
マッサージもヘルスケア産業に含まれる。(外交部資料)
中医学では、温泉に浸かると血行が良くなり、痛みやこりが改善されると考えられている。写真は台東県緑島の朝日温泉。(外交部資料)
長庚養生文化村の管理部責任者・杜素珍さんによると、緑に囲まれ広々とした環境と充実したサービスにより、定年退職前に競うように予約を入れる人が多いという。(撮影:林格立)
健康づくりや養老の捉え方は時代とともに変化する。静かな山間部にある長庚養生文化村では入居待ちの人が多い。(撮影:林格立)
新光グループは新北市板橋区都市圏に全年齢対象の健康管理サービス付きマンションを建てた。立地がよく、台湾に駐在する人たちの入居にも適している。(提供:新光新板傑仕堡)
長庚養生文化村の太鼓教室最終回で、渾身の力を込め太鼓を叩く入居者。(撮影:林格立)
二胡を習う長庚養生文化村の入居者たち。(撮影:林格立)
長庚養生文化村には10万本の木が植えられている。冬にはラクウショウの葉が紅に染まり、観光客が紅葉狩りにやってきて写真撮影に興じる。(撮影:林格立)