鳥類に関する四大市民科学プロジェクト
一般市民にとって、鳥は美しく、観察しやすい生物であり、生態観察の中でも最も盛んな活動の一つである。これは世界中どこも同じだ。そこで特有生物研究保育センターでは、ここから着手することとし、計画的に鳥類を対象とする四つの市民科学プロジェクトを開始した。「四つの順番は戦略的なものです」とプロジェクトの責任者で生態組の組長である林瑞興は言う。
まず打ち出したのは、「台湾で繁殖する鳥類の大調査」(BBS Taiwan)である。計画の初期は林務局のサポートを得て台湾大学生態学‧進化生物学研究所が全台湾の調査サンプリングエリアと研究方法を計画した。それを特有生物研究保育センターが引き継ぎ、中華民国野鳥学会の協力を得て、バードウォッチャーのボランティアを集めた。毎年3~6月の繁殖の季節になると、ボランティアはサンプリングエリアへ行き、標準化された方法で野外の繁殖数を調べるのである。
BBS Taiwanの基礎の上に、続いてさらに上級の「台湾鳥類生産力および生存率監測」(MAPS Taiwan)が行なわれた。これはより難易度が高い。鳥を捕獲してタグをつけて解放するという作業を含み、繁殖期の繁殖進度と生存状況を観察するものである。
参加者をバードウォッチャーから一般大衆にも広げるために、2013年からさらに留鳥と冬の渡り鳥を中心とした「台湾新年バード‧カウント‧カーニバル」(NYBC Taiwan)を行なっている。元旦前後に172のエリアでボランティアチームが鳥の数を数えるというもので、毎年1000人以上が参加している。
2015年8月、特有生物研究保育センターはコーネル大学鳥類学研究室の同意を得て、中国語版の「eBird Taiwan」をアップした。台湾の鳥類に関するデータが国際的なプラットフォームにつながり、林瑞興は、これは台湾の鳥類市民科学インフラの最後の一歩だと語る。
「台湾で繁殖する鳥類の大調査」や「新年バード‧カウント‧カーニバル」など、特有生物研究保育センターが中心になって行なっている大規模な鳥類市民科学では、毎年データを整理して年度報告書を出し、市民と共有している。