試行錯誤で進める公園管理
現在、台湾には陽明山・玉山・タロコ・雪覇・金門など9つの国立公園があり、それぞれが持つ生態系と文化史跡は異なる。そのため、公園管理を行う際は、その地域性と民族性の違いを考慮する必要がある。さらに、ここには前例が存在しない。米国で世界初の国立公園に指定されたイエローストーン公園には、居住者が非常に少なかった。しかし台湾の国立公園内に住む人は少なくない。米国の先例を参考にしても、台湾の将来を予測することはできない。多くの人が住む国立公園をどのように管理すべきか?これは台湾が独自の道を切り開いていくほかない。
「国立公園から人を遠ざける必要はありません。」黄子娟氏は言う。玉山が国立公園に指定されたとき、東埔と梅山の2つの集落が指定区域内に含められた。結果、法律によってその村の人々は様々な制限を受けることになった。そこで、国立公園と地元住民は長い時間をかけて意見をすり合わせてきた。「これまで多くの議論を重ねてきたことも、国立公園としてのふりかえりと考えをより深めてくれました。」幸いなことに30年後の現在、国立公園と地元住民は良好な関係を築いている。地元の人々は国立公園の政策を活用し、エコツーリズムを打ち出し、積極的に自然生態系の保護に貢献することで、共存共栄の関係を築き上げている。
国立公園の管理は天秤のようなものである。片側に観光客と地元住民、もう一方に自然の生態系と保護を載せている。どのように管理の軽重と比率を決定し、どのように修正すればバランスがとれるのだろうか?台湾と韓国では民族性も自然環境も違うが、同じように気候変動という課題に直面し、対応策を模索している。適切な運営管理を通じて、人々に美しい国立公園を利用してもらうためには、どうすればよいのか?管理サービスの経験を共有することで、カーボンニュートラルや気候変動などの課題解決においても貢献ができると確信している。
小観音棧に新しくオープンした旅人がくつろげるカフェ。慶州国立公園の視察団メンバーもここで山の静けさを感じながら、リラックスした雰囲気でコーヒーを味わった。