関心が変革のきっかけに
『台湾数拠百閲』を完成させた後、報道される数字に敏感になったかと劉又瑄と呉宗懋に問うと、二人は笑って「ニュースは見なくなった」と答える。
呉宗懋はメディアで実習したことがある。当時からデータに興味があった彼は、報道されるテーマに関する数字をサイトで確認していた。すると、多くのメディアが、議題を盛り上げるために都合の良い数字を引用していることに気づいたという。例えば労働時間の問題だ。
労働時間に関する報道でよく引用されるのは、台湾の年間平均労働時間はOECD諸国の中で日本や韓国より長い第4位というものだ。しかし、この結果はパートタイマーが全体に占める割合を見落としている。パートタイマーが多いほど、年間平均労働時間は短くなる。2017年の場合、台湾のパートタイマーは全体の3.3%で、日本の22.4%、韓国の11.4%より低いため、平均労働時間が大幅に長くなっているのである。
『台湾数拠百閲』は社会に対する台湾人の思い込みを打破することとなったが、劉又瑄によると、彼らの目標は偏った見方を正すことだけではなく、長期的な社会的コミュニケーションを盛んにすることだ。20年来のデータの変化を見て、ものごとの発展や趨勢を理解した後、思考し、関心を持ち、議論することこそ、この時代には必要だと考えるからだ。「現代人は、一つのものごとに関心を持つ期間が短すぎ、理解も浅すぎます」と語る。台湾がより一層進歩するためには、さまざまな分野が関わり合って一緒に成長していくことが必要だと劉又瑄は考えている。
関心を寄せることが変化のきっかけになる。普段は見過ごしがちなテーマが、実は非常に重要なこともある。例えば、劉又瑄は心身障害者に関するデータを集めていた時、心身障害者が台湾の全人口の5%を占めることを知った。先天的なものだけでなく、老化もその一つなのである。身近な問題ではないと思っていたが、将来は自分も向き合うことになるかも知れないのである。ただ社会的に注目されていないため、障害者に関する研究は少なく、記録されているデータも多くはない。
多くの人に真実を探ってもらうために、Re-labでは『台湾数拠百閲』に続いて質問形式の『百問』を出そうと考えている。読者が自分で答えを探す過程で、認識や考え方の違いに気づき、社会の真実に近付くことを願っているのだ。
情報をビジュアル化することで読者はイメージを深められる。(Re-lab提供)
Re-labが図解する台湾の人気B級グルメ。外国人にも必要な食材がわかる。(Re-lab提供)
Re-labが図解する台湾の人気B級グルメ。外国人にも必要な食材がわかる。(Re-lab提供)
Re-labが図解する台湾の人気B級グルメ。外国人にも必要な食材がわかる。(Re-lab提供)
『台湾数拠百閲』には、台湾で進歩しつつあること50件と心配されること50件がまとめられている。
劉又瑄(左)と呉宗懋(右)は『台湾数拠百閲』を通して社会的議題への関心を高めてほしいと考えている。