機械化による効率アップ
しかし、農家にとって有機栽培面積を拡大する重要な誘因となっているのは機械化の推進である。
例えば大豆の場合、10アールほどの畑で鎌などを使った手作業で除草することを考えただけで農家は二の足を踏んでしまうし、収穫した豆の選別も大変な作業だ。小規模農家には百万元もする選粒機を購入することはできず、目で見ながら手作業で選り分けるしかない。
だが幸いなことに、花蓮農業改良場が耕うん除草機を開発した。人が乗って操作すれば、一度に4本の溝を切りながら同時に草を刈ることもできる。続いて開発された「大豆跑歩機」は、わずか6万元で手に入り、大豆を入れて中を走らせると2時間後には「選粒」が終わっているというものだ。
こうした奨励策と機械化のおかげで、花蓮の大豆栽培面積は、それまで数ヘクタールだったのが600ヘクタールまで増え、そのうち有機大豆栽培面積が300ヘクタールを占めるまでになった。
このように農家にとってネックだった問題を解決して効率を上げた点が成功の主たる要因だと楊大吉は語る。
稲の研究をしてきた宜太平は宜蘭県五結郷の夢田越光米を推薦する。これは病気や害虫に抵抗力のある品種ではないが、農家はこれを有機栽培し、日本にも輸出している。
花蓮7号品種のニガウリには腎臓の細胞を修復する働きがあり、花蓮8号は、乳がん細胞を抑制する機能を持つ。葉と実の両方が利用できるように開発が進められている。