全方位の協力と将来の展望
現在は、台湾の財団法人国際合作発展基金会(ICDF)が、農漁業や交通などの分野でサウジアラビアの関係部門と協力しているが、もう一つの新たな重点は経済貿易面での協力である。
サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相は、2016年に成長戦略として「ビジョン2030」を打ち出した。工業、製造業や再生エネルギー、観光産業、医療などの領域での成長を目指しているが、これらはまさに台湾が得意とする分野でもある。
そうした中、台湾の経済部(経済省)と中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)が協同で結成した「2024年中東湾岸3カ国貿易訪問団」は、今年(2024年)5月にサウジアラビアでイベント「タイワン・マンス」を開催した。これには台湾から医療、飲食、通信、機械などの分野の企業や団体が参加し、台湾の中小企業の競争力を示すこととなった。
このほかに、2021年には台湾の電動バスメーカーである成運汽車(MASTER)とサウジアラビアのサウジ・インターナショナル・インダストリアル・ヴィレッジ・カンパニーが協力協定に署名を交わし、電動バスの技術をサウジアラビアに移転することとなった。また、2022年にはサウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が同国初の電気自動車メーカー「CEER」を設立すると発表し、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)と提携することとなった。
電気自動車やAIといったホットな産業の他に、台湾の医療技術の高さも現地では大きく注目されている。「タイワン・マンス」訪問団に参加した台中栄民総医院は、スマート医療技術の分野で現地最大の私立病院グループであるDr. Hamed Al Mutabagani病院と将来の協力方針について話し合うこととなった。
このように、両国の協力関係は長年続いており、その分野も多岐にわたっている。将来的には各分野においてより多くの協力モデルを探っていきたいとAlthaidi氏は期待を込めて語る。
台湾とサウジアラビアは近年、AIや電気自動車などの経済分野での協力関係も深めている。(対外貿易協会提供)