高機能ファブリックの付加価値
和明紡織が市場競争にさらされ、受託生産から自社ブランドへの転換を考えていた2014年、タイミングよくUMORFILが提供され、業態転換を後押しすることとなった。
「受託生産をしている繊維企業の多くが自社ブランド確立に挑んでいますが、その多くが既存の製品規格を踏襲し、質の高さと価格の安さを打ち出しています。しかし和明紡織の顧客は高級ブランドなので、低価格商品でのブランド展開はふさわしくないと考えていました」と和明紡織の三代目で、ファッションブランド「Weavism織本主義」のマネージャーを務める陳璽年は言う。
陳璽年は、Weavismのデザインコンセプトを明確に打ち出し、旅をテーマとした機能性が高い中価格帯のデザインブランドと位置付けている。このブランドの製作には、和明紡織の生産ラインだけでなく、紡糸や織布、プリントなど台南の繊維産業クラスターを活かしており、その中には当然UMORFILも入っている。
Weavismでは、商品の約5分の1にUMORFILの成分が入った布地を用いている。「合理性」を重視する陳璽年は、すべての商品について同じ材料を用いるのではなく、製品の性質によってふさわしい素材を選ぶのである。陳璽年は、コラーゲンペプチドの特色が最も活かせるのはスカーフだと考えている。サイズの制限はなく、夏には材質から来る清涼感がある。また多くの女性は首の肌のケアを忘れがちだが、コラーゲンペプチドには保湿効果もあるため、熱い屋外でもエアコンで乾燥した屋内でも役に立つ。
台南七股のシンボルであるクロツラヘラサギとサバヒーのデザインをプリントしたTシャツは、ゆったりとしたスポーツウェアで、消臭効果が最も感じられる製品だ。「多くのスポーツウェアはポリエステルを用いています。ポリエステルは水は吸収しませんが油は吸うので、長く着ていると皮脂が繊維の中に浸透し、臭うようになります。木綿にはそのような問題はありませんが、湿気によって臭います」と陳璽年は言う。それに対してWeavismの衣料は、天然素材の肌触りがあり、長く着ていても臭うことはない。
UMORFILは各界から高く評価されているが、このように市場で注目されるようになったのは時代の流れに乗ることができたからだと侯二仁は謙虚に話す。
グローバル化によって競争が激化する中、機能性繊維の高い付加価値がUMORFILブランドに多くのビジネスチャンスをもたらしている。市場は世界各地に拡大しているが、繊維産業と深い縁のある彼は、独自のノウハウを台湾に残すことにこだわっている。かつて台湾経済のテイクオフをリードした従来型産業として、新たな価値を生む競争力を持ち続けたいと考えているのである。「アメリカにはUSAコットン、オーストラリアにはテンセルがあり、台湾にはUMORFILがある、と言われるようにしたいのです」と侯二仁は力強い言葉で締めくくった。
和明紡織三代目の陳璽年は業態転換に取り組み、繊維産業の川上・川下との連携を積極的に進めている。
労働集約型の繊維産業において、台湾に工場を残している企業はいずれも独自技術の開発に力を注いでいる。
UMORFILは地元台南の物産を活かした製品で、農業イノベーションの手本となっている。
UMORFILは世界の舞台で異彩を放ち、トップブランドもこれを使用している。(UMORFIL提供)
UMORFILは世界の舞台で異彩を放ち、トップブランドもこれを使用している。(UMORFIL提供)
ハイテク繊維はすぐれた技術によって既製服となり、台湾繊維産業の実力を見せつける。