「生理」の名を冠する運動
小紅帽の仕事は三つに分けられる。教育と提唱と社会福祉である。
月経教育はすでに教育課程に組み込まれているが、着実に実施されているとは限らず、小紅帽はこのための教案や教材、教具を作成し、台湾各地の90の学校を訪ね歩いた。小学校から大学まで自ら足を踏み入れて教えることで、第一線の教員にも困難があることを知った。月経教育は生理面の知識を教えるだけでなく、ジェンダー教育、情動教育、国際的テーマなどにも関わっており、分野を超えた討論が必要となる。
提唱としては、生理から生じるさまざまなテーマについて討論している。例えば「生理の汚名」では、生理は直接口にしがたく、多くの場合「あれ」などと呼ばれること。また「生理の不平等」では、トイレットペーパーを提供するのと同様に生理用品も提供すべきではないかと訴える。「生理の迷信」では、生理の時は廟に参拝に行ってはいけない、冷たいものを食べてはいけない、というのはどうなのか、女性の身体や日常の行動を他人が決めてもよいのだろうか、と訴える。小紅帽は、このようなユーモラスな切り口で社会と向き合い、議論を巻き起こしたいと考えている。
もう一つは、世界的に注目されている「生理の貧困」問題である。「生理の貧困とは何か知らない人が多いですし、その存在を信じられないという人も大勢います」と林薇は言う。生理の貧困とは、経済的な事情で十分な生理用品を買えず、成長期に良くない影響を及ぼすというものだ。林薇はオランダやタンザニア、レソトで身近に「生理の貧困」を目にし、それなら台湾でも目につかないところで起きているのではないかと考えた。そこでさまざまな社会福祉団体を訪ね、ソーシャルワーカーが個別ケースを扱う時に、生理の貧困の問題がないかどうか、ひとこと尋ねてみてほしいと呼びかけた。すると、これらの団体から次々と紹介の電話が入り、現在、小紅帽では国内の18歳以下の少女550人に彼女たちがカスタマイズした生理用品を提供している。
「生理の貧困の最大の問題は、子供たちの心の不安や焦燥です」と言う。生理用品が足りないため、1枚を使うたびに心が痛むのである。そこで小紅帽がカスタマイズした生理用品を提供し、ソーシャルワーカーが追跡調査することで、生理の貧困の状況を理解できる。