
外交部は初めて「2024 SDG Asia」に参加し、外交部と国内のNGOが共同で推進するSDGsに向けた成果を紹介した。
「2024アジア太平洋サステナビリティ博覧会(SDG Asia)」では、政府、産業界、学術界、NGOが一堂に会し、さまざまな分野におけるサステナビリティへの実践や成果が紹介された。この交流を通して、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にあるグローバル・パートナーシップが推進され、SDGsへの台湾の取組みや実力が世界に対して示された。
抽象的な名詞だった「サステナビリティ」が具体的な実践の段階に入っている。2022年に始まり、今年で第3回を迎える「SDG Asia」はサステナビリティへの台湾の取組みを示す重要な場となってきた。政府、企業、学校、NGOなどがさまざまな分野の豊かな成果を紹介して互いに交流すると同時に、その取組みを一般の人にも伝え、社会全体に広がることを目指すものだ。

今年再び参加した栄成紙業は、再生紙で作った巨大な段ボール箱でブースを作って注目を集めた。箱の中ではESG(環境、社会、ガバナンス)での取組みが展示されている。
産学官や市民による共同成果
欧州連合のコペルニクス気候変動サービスによれば、2024年が観測史上最も暑い1年になる可能性が「ますます高まっている」という。「台湾永続能源研究基金会(持続可能エネルギー基金会、TAISE)」の簡又新董事長も「観測史上初というのはもはや毎年のことで、やがてニュースにもならなくなるでしょう」と言い、国連のSDGsとパリ協定の目標である2030年まで、わずか6年しかないのを忘れてはいけないと注意を促す。
異常気象により、省エネ、CO2削減、再生可能エネルギーといった分野の開発が、SDGsの17の目標の中で最も注目を集めているが、今回の「2024 SDG Asia」では、新たなCO2削減の成果を披露する企業が多く見られた。
台湾セメント株式会社はオペレーショナルカーボン(建物使用時に出るCO2)とエンボディドカーボン(建設、維持管理、除却で出るCO2)の削減を可能にする低炭素建材を開発した。また同子会社の能元科技は発電・蓄電・充電ステーションを一貫させたグリーン電力サービスを提供しており、これはセメント業界におけるサステナビリティの新たな道となろう。また経済部(経済省)は海流や水素による発電や、二酸化炭素回収・貯留について展示し、台湾におけるエネルギー転換が実現可能であることを示した。初参加だったエバー航空は、飛行機はCO2排出量が高いという汚名を返上すべく、動物性油脂や廃食油から作る持続可能な航空燃料(SAF)への移行を目指していると発表した。
ほかにも高い注目を浴びたのが、生態系の保全の問題だ。2023年に持続可能な観光地として国際的認証を受けた6ヵ所の「国家風景区」において、台湾が経済や地域の発展と生態保全を両立させながら「持続可能な観光」をいかに実現させているかを、交通部(交通省)観光署が展示した。また農業部(農業省)林業・自然保育署も、低標高の山地をつなぐ「緑の回廊」の成果や、馬祖のイリオモテボタルの保護育成プロジェクトなどを紹介した。後者は、光林智能科技公司や中国文化大学との産学官協力で行われている。
外交部(外交省)の田中光政務次長は開会式でこう語った。永続能源研究基金会の尽力のおかげで、台湾の各界による取組みが続けられ、政策や国際交流を通じ、政府、企業、学校、医療機関、NGO、市民の力を結集させており、「これらは台湾のソフトパワーであり、ハードな取組みでもあります」と。

統一グループは、「iCIRCLE 高効率スマートリサイクル機」を展示し、ペットボトルの回収から粉砕までの過程を来場者に体験してもらった。
外交とサステナビリティ
今年は外交部も仲間に加わった。
田政務次長は「外交とSDGsは実はかなり関連がある」と言う。今回の博覧会で紹介された飢餓撲滅、健康と福祉、ジェンダー平等、教育の質向上などは外交とSDGsとが結びついた成果であり、また台湾の取組みを国際社会にアピールするという外交的成果にもなる。
同じ地球に住む一員として台湾は国際的責任を担ってきた。友好国の農・漁・工業の発展を支援するほか、新型コロナウイルスに対する予防や管理でも目覚ましい成果を挙げて他国に支援も提供した。また災害や戦火に見舞われた民主主義陣営のパートナーにもさまざまなルートを通じて援助を提供してきた。
会場のあらゆる写真、あらゆる文章が、台湾と世界との出会いだと言える。「外交部の英語のイニシャルはMOFA、つまり『魔法』です(魔法の中国語発音もMOFA)。どうぞ『魔法部』のブースにいらして、外交とサステナビリティのつながりをご覧ください」と田政務次長は会場の人々にウィットを効かせて呼びかけた。今回も多くの外交「マジック」が披露されたはずだ。
今年の博覧会の目玉は国際ゾーンで、外交部のほか、ベリーズ、グアテマラ、セントクリストファー・ネービス、ツバル、ハイチ、セントルシアの友好6ヵ国、中米経済統合銀行(CABEI)、日本の北九州市などのほか、アップサイクルアートのタイの芸術家WISHULADA PANTHANUVONGさんも参加した。これらはまさに、SDGsの目標17にある「パートナーシップ」を台湾が拡大しつつあることを示している。
また、開幕式では台湾在住のセントクリストファー・ネービスの人々が素晴らしいパフォーマンスを披露したほか、グアテマラ共和国のフリオ・エドゥアルド・オロスコ・ペレス外務次官、同共和国のオスカー・アドルフォ・パディラ・ラム駐台湾大使、パラグアイのカルロス・ホセ・フレイタス・ロドリゲス駐台湾大使、セントルシアのロバート・ケネディ・ルイス駐台湾大使、日本北九州市の大庭千賀子副市長など、世界各地からのゲスト15名が招かれ、オープニングを飾った。
台湾永続能源研究基金会の簡董事長も「参加した友好国には、台湾がどのような支援を行えるか知ってもらえるし、また課題や成果を共有することもでき、実際の交流を促せます」と言う。
交流と言えば、フォーラムやサロンも重要だ。

台湾のランドマークである台北101とともに、笑顔で写真に納まるグアテマラ共和国のオロスコ外務次官。
「パートナーシップ」による協力
3日間の会期中、各界の専門家を招いて討論を行う「SDG Asiaフォーラム」が開かれた。例えば、台湾マイクロソフトと行政院(内閣)人事行政総処が開いた「AI時代のスマート人材と持続可能な人材管理フォーラム」、ブリティッシュ・カウンシルが国内外からCO2回収のトップエキスパートを招いた「第3回CCUS(炭素回収・貯留・利用)フォーラム」、国内外の医療関係者による「医療界の新たな地平の拡大――持続可能な医療産業チェーンの構築」などのテーマがあった。
中でも「TAISE国際パートナーシップ・サステナビリティフォーラム」は、サステナビリティの国際協力に焦点を当てた初めての討論会だった。前半のセッションでは、英国在台弁事処のジョン・デニス代表、サウジアラビア駐台商務弁事処のアーディル・F・アッ=ザーイディー代表、カナダ駐台北貿易弁事処のエド・イェーガー処長、ニュージーランド商工弁事処のマーク・ピアソン代表が招かれ、自国でのSDGsの経験や事例を紹介した。後半のセッションでは、セントビンセント及びグレナディーン諸島のアンドレア・ボウマン駐台湾大使、ツバルのシラファガ・ラルア・オブライエン代理大使が、気候変動の最前線に位置する国として見解を語った。
グアテマラのフリオ・エドゥアルド・オロスコ・ペレス外務次官は2日間連続して博覧会会場を訪れ、ブースを一つ一つ参観し、各会合にも参加するなど、今回の注目の的となった。1日目はグアテマラとベリーズを訪問する予定の台湾国際青年大使たちと歓談した。2日目の午前は、中米経済統合銀行サロンに出席し、まるで凄腕セールスマンさながらにグアテマラの投資環境を紹介、午後も国際サステナビリティサミットに参加し、グアテマラについて紹介した。
「台湾とグアテマラは友人同士です。台湾人がビジネスに来るのを大歓迎します」と、オロスコ外務次官は中米経済統合銀行サロンで言い、世界で飲まれるコーヒーの10杯に1杯がグアテマラ産だという重要性、また同国が持続可能な発展も重視していることを強調した。そしてグアテマラは台湾や世界の国々からの投資を受け入れる準備がすでに整っていると、話を締めくくった。企業から消費者までを幅広く見据えたスピーチからは、台湾市場に対する重視が感じられた。

台湾と世界の共栄
地球市民として台湾は、今夏のSDG Asiaでさまざまな優れた成果を披露し、SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」が、この島で静かに花開いていることを世界に知らしめた。「国連はSDGsの推進で『誰一人取り残さない』ことを常に強調してきました。この社会、この国、この世界全体に、豊かで進歩した環境にいる人がいる一方で、それらから取り残されている人もいるなら、サステナビリティは永遠に達成できません」と言う簡董事長の言葉は、サステナビリティの主旨を語るものであり、また持続可能な発展に向けた台湾の決意を力強く説明したものだと言えよう。
台湾永続能源研究基金会の簡又新董事長の長年にわたる尽力により、台湾のサステナビリティへの取組みが次第に国際的に知られるようになった。

SDG Asiaは企業間交流だけでなく、各省庁と市民が対話する場でもある。

外交部によって今年選ばれた50人の台湾国際青年大使が会場を訪れ、外交部の田中光政務次長、グアテマラ共和国のオロスコ外務次官やパディーヤ駐台湾大使と歓談した。

多くの駐台湾使節や代表が参加した今回の博覧会は国際交流の場となった。

博覧会における各サロンは、市民が企業やNGOと対話する重要な場となった。

2024 SDG Asiaは「潮流・サステナビリティ」をテーマに、政策、企業、NGOなどによる七つの展示ゾーンが設けられ、サステナビリティへの台湾の取組みを世界に伝えた。