台湾を一周できるグリーンな交通手段がある。温室効果ガスを出さず、環境にやさしく、自在に動け、大地にも親しめる。少しスピードを落とせば旅を楽しみながら身体も鍛えられる。自転車なら、台湾のどの景勝地にも行くことができるのである。
「台湾を一周するには車では速すぎるし、徒歩では遅すぎる。自転車がちょうどいい」と言われている。2015年末に開通した台湾一周サイクリングロード1号線は台北市の松山駅を起点とし、台1線と台9線をメインとして全長960.8キロを走る。15~20キロごとに休憩地点が設けられており、高速鉄道や台湾鉄路への乗り継ぎもでき、9~14日をかけて台湾を一周できる。
このコースは台湾西岸を南へ向かい、南台湾から東岸を北上するが、途中の北部、中部、南部それぞれに海沿いを通る浜海段と内陸を通る内山線があり、また日月潭、故宮南院、奇美博物館へ通じる道や、東海岸花東縦谷、蘭陽平原などのコースもある。こうしたグリーンな旅は国内外で盛んになっている。
では、世界の五大自転車パーツメーカーが台湾にあることをご存じだろうか。台湾の自転車工芸がいかに発展してきたか、ご存じだろうか。各自治体が次々と打ち出すサイクリングコースの中で、特におすすめのコースはどこだろう。今月の『光華』は、台湾の自転車産業の発展と自転車と人々の暮らしのつながりを考える。
今月号では、このほかに産官学が力を合わせて守る生物多様性、サクラエビの物語、原住民集落の粟栽培復活、ツルヒヨドリの循環利用などをご紹介する。また台湾の理容文化の変化、視覚障がい者による世界六大マラソン制覇などもお読みいただきたい。
間もなく2024年外交部アポイントダイヤリー『遊宝島・台湾恁靚』が出版される。台湾各地の美しい景観や、媽祖の巡行、蘭陽博物館、原住民族の祭典、月津港のランタンフェスティバル、客家のアブラギリなど、美しい写真とともに台湾文化に触れられる一冊となっている。
自転車なら、熱血の旅もできるし、自然に親しむ旅も、離島めぐりもでき、どんな方法であれ、自分らしい旅を見つけられる。何ものにも縛られることなく、自転車にまたがり、こぎ出してみようではないか。まずは時速15~20キロで、風の中をゆっくりと景色を感じていこう。