フィリピン海プレートとユーラシアプレートの作用で生まれた台湾には豊かな山脈と地熱資源がある。今月のカバーストーリーは台湾各地の温泉を中心に、そこから生まれた景観や物産、文化など地域に根差した観光資源をご紹介する。北投の緑色硫黄泉が実はラジウム温泉であることをご存じだろうか。共同浴場「瀧乃湯」はなぜこれほど地域に根付いているのか。緑島の朝日温泉で温泉卵を作ると、なぜ黄身がとろとろにできるのだろう。宜蘭県蘇澳の冷泉公園周辺の旅館では、炭酸泉に入れることをご存じだろうか。カバーストーリーでこれらの答えを見つけていただきたい。
阿里山森林鉄道は2009年の台風8号などの災害によって15年にわたって運行されていなかったが、2024年7月に全線が開通した。今月号では阿里山鉄道のトンネルと駅の修復過程、そして文化資産保存と現地の物語をご紹介する。台東県では池上、関山、玉里、富里がモデルエリアとなり、「スローフード」運動が進められてきた。台東スローフードフェスを主催する郭麗津と現地のレストラン経営者とともに、この文化の発展をふりかえってみる。
海外取材班はインドで活躍する台湾企業「研華公司(アドバンテック)」と「東元電機」を訪ねた。前者は産業用コンピュータの世界シェア1位、後者は世界シェア3位のモーターメーカーである。台湾企業がどのように海外市場を開き、台湾の産業を発展させているか、ぜひお読みいただきたい。
10年に一度開催される米国電気電子学会の超音波・強誘電体・周波数制御ジョイントシンポジウム(IEEE UFCC-JS)が初めてアジアで開催された。大会議長の徐萬泰は、私たちのインタビューに答え、「台湾には半導体産業のほかにも、まだ多くの有望な産業があることを証明したいですね」と語った。もう一人の共同議長、李百祺は台北が開催権を獲得するまでの大変なプロセスを語った。
5日にわたるシンポジウムには世界から超音波・強誘電体・周波数制御に関わる企業55社が集い、2300人にのぼる技術者や学者、大学院生らが参加し、1600もの論文が発表された。産業界に新たなエネルギーをもたらすとともに、台湾のテクノロジー発展に新たな力が注がれ、「Made in Taiwan」を一層輝かせる舞台となった。