「神が栄えるには、人(信者)が必要であり、巡行するには神輿を担ぐ人が必要です」と中央研究院民族研究所兼任研究員の林美容は私たちの取材に語った。台湾では、毎年媽祖の巡行が盛大に行なわれる。今月号のカバーストーリーでは、媽祖の巡行を中心に、そこから派生するさまざまなテーマを扱う。神輿の工芸、文化と食が集まる廟前広場、巡行や巡礼の現場、そしてさまざまな結縁品などだ。台湾で年に一度の一大宗教イベントにぜひ触れていただきたい。
今月のグローバルアウトルックでは、火山、海洋、台風、地震などの分野における台湾とフィリピンの協力をご紹介するとともに、台湾の考古学における重大発見「鵝鑾鼻遺跡」もご覧いただく。先史時代、パイワン族、平埔族と、6000年前のさまざまな遺物が出土し、世界から注目されている。
台湾の食文化もまた、各時代の移住者とともに入ってきたものの融合である。台湾料理はこの土地の記憶であるだけでなく、世界史とつながっているのだ。この記事をお読みになれば、外国料理のように思われる蒙古烤肉や左宗棠雞、月亮蝦餅などが、実は台湾生まれであることが分かる。
世界から高く評価される台湾のテクノロジー企業もご紹介する。詐欺防止データベースやデジタルID認証など、情報セキュリティに貢献している企業だ。「これは全世界が直面している問題で……、テクノロジーは私たちの実力であり、解決の道を見出せれば世界中に広められるのです」とAuthme社の李紀広CEOは語っている。
今月号でもう一つご注目頂きたいのは、台湾と日本の「友情の道」である。台湾の淡蘭古道と日本の宮城オルレは2023年11月に正式に協定を交わし、宮城オルレに淡蘭古道のシンボルであるヤブレガサウラボシの石柱が立てられた。2024年5月には宮城オルレを象徴する赤い馬のオブジェが淡蘭古道でも見られることとなる。
台湾と日本のトレイルのマッチングを行なった台湾千里歩道協会執行長の周聖心は「徒歩の旅は真に現地に溶け込める方法です。特産品店や小さな食堂で消費し、現地の料理を食べれば、地元の人々と深く交流することができます」と語っている。台湾の淡蘭古道からは「亀山島」が見え、宮城にも「亀島」があるなど、「友情の道」提携を推進する過程でのさまざまなエピソードもお読みいただきたい。