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海の民として

海の民として

文・陳亮君  写真・莊坤儒 翻訳・山口 雪菜

7月 2021

6月8日は「世界海洋デー」。私たちは海に敬意を表し、海に学び、海とともに生きる島にならなければならない。(荘坤儒撮影)

四方を海に囲まれた台湾では、気候も環境も、生物も文化も海と深く関わっている。百万年来、海は宝の島・台湾を育み、これからも台湾の運命と将来に深い影響をおよぼしていく。

台湾はアジア大陸東岸の沖、西太平洋の島々の中央に位置する。周囲の海域では黒潮と南シナ海モンスーン海流、大陸の沿岸海流が互いに影響しあう。このような独特の地理的条件から、人類の文明とオーストロネシア系諸族の移動と分布拡大において、台湾は鍵となる重要な役割を果たしてきた。しかし、現在の台湾人に、台湾の海岸の特色や海の中の様子についてたずねても、おそらく答えられる人は非常に少ないだろう。そこで今月号では海というテーマを深く掘り下げることにした。人々に海を知ってもらうことが、海に親しみ、海をより大切にする一歩につながればと考えている。

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新型コロナウイルスのパンデミックが収まらず、世界では数百万人が亡くなり、多くの国の経済もダメージを受けている。こうした厳しい状況の中、我が国の外交部と国際合作発展基金会(ICDF)は、途上国への公衆衛生・医療支援を続けて社会経済の発展に協力し、台湾からの温もりを届け続けている。今月号では、ICDFの史立軍・副秘書長に、台湾による対外援助についてお話をうかがった。

さらに今月号では、トルコとシリアの国境地帯に設けられた台湾-レイハンリ世界市民センター(台湾センター)をご紹介する。ここの責任者である裘振宇氏と、就任したばかりの黄志揚・駐トルコ代表に、センターの現状と課題についてうかがった。難民となった女性や子供たちのデジタルデバイドの解消や、海外および台湾のNGOなどのリソースを導入することによって、台湾センターを今後も持続的に運営していきたいというお話しだ。

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このほかに今月号では、さまざまな分野の素晴らしい人物をご紹介する。世界で流行している楽器、スチールタングドラムを手作りし、大自然の音を感じさせる楽器を生み出す潘子村。台湾を愛し、伝統弦楽器を製作して台湾の民間宗教における儀式を継承する林宗範。そして創設18年を迎え、台湾の「五大奇異事件」をもとに演劇『十殿』を発表した阮劇団。また「自転車で行く台湾」シリーズでも台湾の人物や文化をお読みいただきたい。

海から生まれた台湾では、実は容易に海に親しむことができる。海を知り、海の声に耳を傾け、その喜怒哀楽を感じ取ってみてはどうだろう。『光華』が数十年にわたって台湾の生命を記録し続けてきたように、理解し、関心を注げば、万物の循環は永遠に続いていくことだろう。

キーワード:
台湾