背景も専門分野も異なる世界各地の人々が、「台湾」を人生のステージに選んでいる。今月号では、そうした物語を特集する。日本出身の半導体技術者、水沼仁志さんは「愛」のために台湾に移住し、台湾と日本の電子産業の協力と発展にも貢献している。オランダの芸術家としての最高の栄誉であるRoyal Award for Modern Paintingを受賞したPascal van der Graafさんは、台湾での暮らしにとけ込み、人生の真の色彩を発見した。
ギリシア出身で世界的な素粒子物理学者のStathes Paganisさんも台湾の国籍を取得した。彼は台湾の学術環境をどうとらえ、どこに台湾の優位性を見出したのだろう。また、世界61ヶ国を訪れたことのあるオーストラリア出身のクラウド・コンピューティングのエキスパート、Tom Fifieldさんも台湾を人生のベースに選んだ。オーストリア出身、88歳になるイエズス会のLuis Gutheinz神父が台湾のために捧げてきた人生の物語もご覧いただきたい。
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台湾社会の雰囲気や制度は、東南アジア出身の移住者や労働者に不平等な状況をもたらしているのだろうか。潜在的な水面下の不平等は、私たちの無意識の言行によるものではないのか。民族音楽学者で、インドネシアの王宮から親王の爵位を受けた蔡宗徳教授に、東南アジアのパフォーミングアーツが台湾で直面する現状と課題について語っていただいた。
2020年、台湾東部初の非営利の野生動物救護センターが台東の池上に設けられた。取材チームは野生動物救護の現場に密着し、その状況を記録した。この他に、台湾伝統の市場の写真や、ミャンマー華僑が集まる華新街、観光スポット、基隆七堵瑪陵坑などの取材記事もお読みいただきたい。
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IRENA(世界再生可能エネルギー機関)の予測によると、2050年の段階で世界の使用済ソーラーパネルは9億トンを超えるとされる。そうした中、国立台南大学グリーンエネルギー大学院の研究チームは世界に先駆けて廃パネルを完全にリサイクルするシステムを開発した。彼らがいかにして廃棄物を価値あるものへと変え、新たな産業チェーンを生み出そうとしているか、ぜひお読みいただきたい。
同じく台湾が世界に誇る技術がある。2018年に国立清華大学が発表した世界初のブルーライトを含まない「燭光OLED(有機EL)」である。米国NASAの固体照明プロジェクト責任者のジョージ・ブレイナード氏も、このためにわざわざ台湾に視察に訪れた。燭光OLEDにはいかなる優れた点があり、環境にどのような良い影響をもたらすのか。清華大学材料科学工学科の周卓煇教授にお話をうかがった。