海外では100年以上前に国立公園設立運動が始まった。我が国では1984年1月に最初の国立公園——墾丁国家公園が設けられ、続いて玉山、陽明山、太魯閣、雪覇、金門、台江、東沙環礁、澎湖南方四島の9つの国立公園が次々と設立された。さらに2019年には「国家公園法」によって「寿山国家自然公園」が設けられ、40年近くにわたり国立公園によって自然保護の経験が蓄積されてきた。
今月号では、国立公園の巡視員や研究員、ボランティアなどの第一線の日常の仕事を通して、彼らが直面する実際の状況に触れ、また台湾の自然資源や豊かな遺伝資源に関する理解を深めていただきたい。
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海外に滞在する台湾人の中で、脚光を浴びる作家が誕生した。日本で芥川賞を受賞した李琴峰である。彼女は繊細な心で人や社会を観察し、明晰な筆致でその思いをつづる。2017年に日本語で発表した『独り舞(台湾版のタイトルは『独舞』)』が日本の文壇で注目され、代表的な純文学新人賞を受賞。その作品には台湾での成長過程やそこから得た創作の糧がうかがえる。
同じく台湾出身で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で研究チームを率いる太陽電池の権威、楊陽の活躍もお読みいただきたい。彼は次々と有機太陽電池の課題を乗り越える実験に成功し、世界で初めて変換効率10%を突破した。今月号の「光華」は、これら海外で活躍する優れた人材の台湾での成長過程や、創作・研究における転機や出会いをご紹介する。
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「台湾」という大地の書を読み解き、さまざまな時代に残された足跡を観察するには、現地に深く入り込まなければならない。「Like It Formosa」(来去フォルモサ)を創設した鍾حQ儒は、海外で参加した無料徒歩ツアーに感銘を受け、これを台湾に導入した。退社後や休日の時間を利用して英語観光ガイドを募集し、外国人に知ってほしい、あるいは外国人が興味を持つであろうユニークな観光コースを考え、「無料徒歩観光ツアー」の事業をスタートさせたのである。
また、力強く温かみのある台湾の音を世界に伝えるNSO国家交響楽団の活躍もご覧いただきたい。彼らは台湾の特色を打ち出して西洋と対話し、世界的に高く評価されている。
コロナ禍を経て、世界中の医療や教育、金融、コミュニケーションなどが少なからず変化したが、決して変わることがないのは私たちの善の心であろう。世界の役に立ちたいという私たちの気持ちは、さまざまな分野で台湾の良さを世界に伝えている。