台北の町を歩きながら
ホーはよく台北の町を歩いてインスピレーションを得る。「台北もニューヨークも歩ける町です。台北の東区、安和路、天母には蔡監督やヤン監督、侯監督の映画のロケ地が多く、歩いて味わえます。中山区、中正紀念堂、万華、広州街、和平西路など古い町並みの残る地区も、貧しいとか時代遅れとかいうわけではありません。だから私の映画でも、台北西区を舞台に若者の世界を描くことに違和感はありませんでした。とても台湾らしいし、ああいう感じが好きです」
「台湾の町はとても映画チックです。かっこよくて乱雑で、路地裏や町の片隅にサプライズがあります。静かな路地にきれいな草花や生け垣があり、その角を曲がると高層マンションが突如現われる。これが台湾のおもしろさです」
台湾在住20年を超えたホーは、娯楽的なテレビ‧ニュース番組からもインスピレーションを得ることがあり、台湾のエネルギッシュな面や寛容性を愛する。「警察の汚職を描いた作品では、警察局の2階でロケをしました。毎日、警察の人たちに挨拶して2階に上がり、どたんばたんと大きな音をたてて撮影しましたが、誰も2階に上がってきたことはありませんでした」
普段はエンタメ系のアクション映画などを見ていると言って笑うホーだが、彼の作品は観客に深い思考を促す。「さまざまなものを盛り込んで、視点が多ければ、観客も作品を見終えて何か思うところがあるはずです。そういう作品こそ、時間や精力、資金をかけても惜しくありません」
ホー・ウィディンは若い男女の苦しみと性を描く。(映画『テロライザーズ(青春弑恋)』提供)