30年前の台湾トリュフへの道
昨今の目覚ましい発見を語る際、忘れてはならないのは、30年前に台湾トリュフ研究の基礎を確立した胡弘道の研究チームだ。
彼らは1992年に台湾で初めてトリュフの新品種――Tuber formosanumの発見を発表し、2009年にはTuber furfuraceumを発表した。胡弘道はまた1990年代に台湾大学実験林においてアジア初のトリュフ栽培園を設置し、数年をかけて20キロほどのトリュフの収穫に成功した。
それから研究は途絶えていたが、幸いなことに傅春旭と林介龍がこの「台湾トリュフの夢」を引き継ぐことになり、さらに5つの新品種を発見したのである。彼らは、台湾のトリュフは決してこの5種だけにとどまらないと考えている。「少なくとも15種は生息する条件があります」というのである。
環境の影響を大きく受ける菌類であるトリュフは、アルカリ土壌を好み、ヨーロッパでは石灰岩から成るカルスト地形の土地でよく収穫される。林介龍によると、南投県の日月潭や埔里一帯と台東県の利嘉、太麻里、安朔東南森林区は、氷河期の遺存種が多い地域であり、東部の石灰岩地形はアルカリ土壌という条件を持つため、まだ世界でも発見されていない新種が生息している可能性があるということだ。
もう一つ注目したいのは、台湾の標高の高い森林には分厚い腐植土層があり、そうした中の酸性土壌で珍しい品種のトリュフが採取されることもあることだ。「黒トリュフが採取された土壌のpH値は高くても5~6で、中性の7を超えることはありません」と林介龍は言う。これは、台湾で発見された新品種と海外の品種との大きな違いを示している。
トリュフをいかに見つけるか、どのように栽培するかは、世界でも常に注目されているテーマだが、産地や品種によってそれぞれ性質が異なる。土壌の酸性・アルカリ性、温度、湿度、宿主の違いや周辺の菌類など、さまざまな要素が交差して影響し合い、これまで知られていなかった特徴が発見される可能性もある。
各地で採集したトリュフの子実体。大きいものは7センチ、小さいものは1センチに満たない。