半年は人間が利用、半年は鳥が利用
台江と台南沿海地域の養殖業者は、段階を追って経営を転換していった。「初期はエビの養殖でしたが、病気が流行してからは経済的価値の高いハタの養殖に切り替わり、現在はハマグリやシロエビへと変わりました。サバヒーの養殖は昔から続いています」と黄光瀛は説明する。ハタであれハマグリであれ、養殖池は深く掘らなければならず、一年を通した高密度の養殖は地力を低下させ、また大量の養殖廃水が出る。クロツラヘラサギは渉禽で、浅瀬でエサをとるが、以前はサバヒーの養殖池の水深と養殖周期はちょうどそのエサにふさわしかった。だが、深い池での養殖方式に変えてからは、クロツラヘラサギのエサが減ってしまい、その生存を脅かしていた。
「半年は人間が利用、半年は鳥が利用」――毎年4月から10月はもともとサバヒーの養殖期間で、10月から翌年の4月まではクロツラヘラサギが越冬に来る時期である。この時期、養殖池ではサバヒーの収穫を終えて水を抜くので、池の底に残った小魚や小エビがクロツラヘラサギのエサになる。こうした循環方式は、300余年前にオランダ人がサバヒーの養殖を導入した頃の伝統に立ち返るものであり、動態的な文化の継承であるとともに、生態保護の理念にもかなっている。この転換について営建署国立公園組の張維銓組長は次のように説明する。「台湾で越冬するクロツラヘラサギの数が2011年に激減した時、私たちは台南大学と協力して環境にやさしい養殖を試みました。魚を収穫した後、養殖池の水位を下げ、陽に当てることで消毒します。2~3月になったら放水して米ぬかを天日干しします。米ぬかはサバヒーのエサとなる藻類の繁殖に役立つのです」
「浅い池でのサバヒーの養殖は4月から10月末で、収穫を終えたら水位を下げて比較してみました」七股西校区の実験的な養殖について、台南大学生態および環境資源学科の王一匡准教授は話す。サバヒーなどの養殖池合計4組を二つに分け、過去の養殖方法を採用する池では水位を下げ、もう一方の池では水位を維持して比較した。その結果、水位を下げた池ではクロツラヘラサギがよくエサを採ることがわかったのである。さらにはシラサギなど他の水鳥もやってきて、数年の実験の結果、冬に池の水位を下げることが鳥類保護に有効なことがわかった。
4月から10月は従来の浅い養殖池でのサバヒーの養殖期間で、10月から翌年の4月まではクロツラヘラサギが越冬に来る時期である。この時期、収穫後の養殖池の水位を下げれば、池の底に残った小魚や小エビがクロツラヘラサギのエサになる。