
真っ黒い薄皮に包まれた黒金剛ピーナッツは、雲林県元長郷への天からの贈り物だ。
台湾の特色ある農産物として世界に知られる黒金剛花生(黒皮ピーナッツ)。そして、まだ探索の段階にあり、今後リソースの投入が待たれる台湾の黒トリュフ産業、いずれも宝島・台湾が育む「黒い宝」である。

黒金剛ピーナッツの殻を割ると、墨のように黒い実が殻の淡い色と強烈なコントラストを成す。
黒金剛ピーナッツ

「喜笑おばあさん」と呼ばれる呉張宮裡さんはすでに80歳と高齢だが、今も自ら良い種を選別している。
天から台湾への贈り物
台湾の詩人・陳金波は「落花生」という作品に、「油を搾ればランプに使え/肴にすれば酒が進む」と書いた。「長生果」とも呼ばれるピーナッツは、台湾人が愛するおやつやつまみであり、搾ればランプを灯す油になる。こうした台湾の日常の光景がうまく描かれている。
台湾のピーナッツの種類は多いが、最も多く栽培されているのは褐色の薄皮の「油豆」と呼ばれる品種で、このほかに赤い薄皮の「紅仁」や、薄皮がまだら模様の「花仁」、それに黒い皮の「黒金剛」という品種がある。

天から元長郷への贈り物
網目模様が際立つ殻を割ると、3~4粒の黒々とした薄皮に包まれたピーナッツが姿を現す。これが黄土色の殻とコントラストを成し、食べる前から一味違うピーナッツだと感じさせる。
黒金剛ピーナッツの起源には諸説あるが、長年にわたってピーナッツの品種を研究してきた台南区農業改良場の陳国憲・研究員によると、比較的信憑性が高いのは次のような説だ。ピーナッツを栽培する農家が、中に真っ黒い薄皮のピーナッツがあるのを発見し、好奇心からそれを残して植えてみたというものである。こうして雲林県元長郷は黒金剛花生の故郷となったのだという。
民間では昔から、黒い食べ物は肝と腎を補い、五臓の陰を潤すと言われている。黒金剛ピーナッツもそう言われているが、実は科学的にも根拠があるという。陳国憲によると、金黒剛ピーナッツは、黒豆やブドウなどと同様、黒い薄皮の部分に天然のアントシアニンが含まれており、また8つの必須アミノ酸、ビタミンB6、B2、B1や、ナイアシンといった人体に有益な成分が多く含まれているのである。
歯応えも香りも良く、食べ始めたら手が止まらなくなる黒皮のピーナッツは、2010年代に発売された当時、多くの人がギフトとして購入した。だが、陳国憲によると、この頃から春節前になると黒金剛花生は人工的に皮を黒く染めているのではないか、という問い合わせが入ってくるようになったそうだ。そこで彼は2012年、アントシアニンが水に溶け出すのは正常な現象だと説明する文章を発表した。

一面緑のピーナッツ畑の中に、小さな黄色い花が咲いている。
手のかかる黒いピーナッツ
「ピーナッツ栽培で一番心配なのは水に浸かることです」と話すのは「喜笑花生」ブランド二代目の呉文欽だ。最近の台風では中南部に豪雨が降り、多くの田畑が冠水した。だが幸いなことに、雲林県元長郷はもともと砂の多い土壌で、現代的な排水システムも整っているため、大きな損失は出なかった。
元長郷の農地を歩いていくと、いたるところに陳金波の詩に描かれた「一面に緑の葉が覆い/見渡す限り蝶に似た黄色い花をつける」という光景が広がる。落花生畑では緑の枝葉の間に可愛らしい黄色い花が咲いている。呉文欽の父親の呉啓魯にとって、ピーナッツの開花の季節は特に注意しなければならない時期だ。
「落花生」という名の由来は、ピーナッツの花が開き、受粉して花が落ちると、子房柄が伸びて土の中にもぐっていき、その先端にお馴染みのピーナッツが育つことから来ている。この時期はより多くの養分を必要とするため、農家の人々は肥料を増やし、実の生長を促す。
「油豆」は収穫まで90~100日なのに対し、黒金剛は100~120日かかる。その間、継続的にさまざまな肥料をやるだけでなく、地表の茎や葉の高さに注意する。茎や葉が伸びすぎると、土の中の実の生長に影響を及ぼすからだ。
また、近年は気候変動のために四季の変化がはっきりしなくなり、極端な気温になることもあって、予測できない発芽の問題が生じる。「数年前には、収穫時に7割の実が発芽していました」と呉文欽は言う。ピーナッツは発芽してもジャガイモのように毒を持つことはないが、やはり味に影響してしまう。

父親の呉啓魯さん(中央右)、母親の呉張宮裡さん(中央左)から家業を引き継いだ二代目の呉文欽さん(右)と呉文勝さん(左)。4人は力を合わせて「喜笑花生」ブランドを立ち上げて販売ルートを拡大し、黒金剛ピーナッツの知名度を高めようと努力している。
「黒い心」を優しく育てる
陳金波の詩はこう続く。「秋深い莢採りの日が好きだ/噛めば歯と頬に永く香りが留まる」と。麦芽糖で固めたピーナッツ飴、柔らかく煮たピーナッツ汁粉、あるいはチマキに入れた塩味のピーナッツなど、甘いものもしょっぱいものも、ピーナッツは誰からも愛される。
しかし、黒金剛のアントシアニンは水に溶け出してしまうため、料理に加えると全体が黒くなることもあり、黒金剛はやはり殻付きのままで売っていることが多い。
収穫したピーナッツは10日ほど天日に干す。豊作の時には産業道路にも並べられ、壮観な「落花生大道」となる。「そのまま放って置くのではなく、一日に2回は返さなければいけません。勤勉な人は2時間ごとに上下を返します」と呉文欽は言う。十分に日光に当てた落花生は機械で乾燥させたものとは歯ざわりが違うという。乾燥させた後は、不純物を取り除いて選別、等級分けし、砂と一緒に鍋で炒る。砂と一緒に炒ることで殻が美しくなり、均等に火が通る。
雲林県元長郷の黒金剛ピーナッツ市場を拡大しようと、農家の若い世代が「喜笑花生」ブランドを立ち上げた。メーカーと協力して黒金剛を使ったピーナッツ飴やピーナッツ餅、ピーナッツ油などを開発し、海外進出も果たしている。一家三世代がこの黒いピーナッツを喜びをもって育み、元長郷の特産を守ろうとしている。

天日で乾燥させてから炒った黒金剛ピーナッツの薄皮は黒光りしている。