手のかかる黒いピーナッツ
「ピーナッツ栽培で一番心配なのは水に浸かることです」と話すのは「喜笑花生」ブランド二代目の呉文欽だ。最近の台風では中南部に豪雨が降り、多くの田畑が冠水した。だが幸いなことに、雲林県元長郷はもともと砂の多い土壌で、現代的な排水システムも整っているため、大きな損失は出なかった。
元長郷の農地を歩いていくと、いたるところに陳金波の詩に描かれた「一面に緑の葉が覆い/見渡す限り蝶に似た黄色い花をつける」という光景が広がる。落花生畑では緑の枝葉の間に可愛らしい黄色い花が咲いている。呉文欽の父親の呉啓魯にとって、ピーナッツの開花の季節は特に注意しなければならない時期だ。
「落花生」という名の由来は、ピーナッツの花が開き、受粉して花が落ちると、子房柄が伸びて土の中にもぐっていき、その先端にお馴染みのピーナッツが育つことから来ている。この時期はより多くの養分を必要とするため、農家の人々は肥料を増やし、実の生長を促す。
「油豆」は収穫まで90~100日なのに対し、黒金剛は100~120日かかる。その間、継続的にさまざまな肥料をやるだけでなく、地表の茎や葉の高さに注意する。茎や葉が伸びすぎると、土の中の実の生長に影響を及ぼすからだ。
また、近年は気候変動のために四季の変化がはっきりしなくなり、極端な気温になることもあって、予測できない発芽の問題が生じる。「数年前には、収穫時に7割の実が発芽していました」と呉文欽は言う。ピーナッツは発芽してもジャガイモのように毒を持つことはないが、やはり味に影響してしまう。
父親の呉啓魯さん(中央右)、母親の呉張宮裡さん(中央左)から家業を引き継いだ二代目の呉文欽さん(右)と呉文勝さん(左)。4人は力を合わせて「喜笑花生」ブランドを立ち上げて販売ルートを拡大し、黒金剛ピーナッツの知名度を高めようと努力している。