現場を直撃
学校側の案内で、教導主任(教頭に相当)王政忠の教室に入る。短く刈った髪に、黒いTシャツと短パン、黒縁めがねの王政忠は、明るく親しみのもてる声で生徒と話をしていた。
夏期講習の一時間目、新しいクラスで、王政忠は一人ひとりの対話と積極性をもとに、適時に席を入れ替えつつ、机の配置にも注意を払う。教室の机は4~5人一組で5班に分ける。左右両側の班はL字型に、中間はコの字型に席に着く。こうすると全員から先生が見える。
今日は国語第三冊第4課『歳月跟著』(歳月は後について)、作家・向陽の現代詩である。
まず、新出漢字の読み書きをテストして理解度を把握する。40問中不正解は、ほとんどの生徒で5~6問だった。宿題は自分が不正解だった部分だけでいい。従来の同じ授業、同じ宿題に比べ、ずっと効率がいい。続いて「ウォームアップ問題」を配る。家での自習の状況がわかるとともに、生徒の方でも今日の内容の予測がつき、頭の中で新しい内容と経験とが結びつく。
質問は学びのためであり、学びは対話の中に生まれる。「現代詩には格律はない?」「この自由詩が描いているのは人生のどの段階?」「第一連で子供に繋がるヒントは?」王政忠は回答の様子を見ながら、次の問題を投げかける。「子供から、大人、歳をとって死ぬまで」「ひづめを使ったのは子供は駆け回るものだから」「秒針の速さが子供の活発さ軽快さを表現している」生徒が答える中、王政忠は適度に多様な答えを導き出し、文中から基本の設問のヒントを見つけさせる。卓上のホワイトボードが教室の対話の道具になる。「字数、行数、押韻、平仄、対句。誰が一番速く言えるかな?」早口ゲームが飛び出した。
基本の設問は、文章を読み解く方法を学び、作者の観点を読み取り、その根拠を探す力を育てることに狙いを置く。そして、チャレンジ問題が展開する。「自分なら子供をどう描く?」根本の問題に関わることもある。「死んだら、どんな方法で生き続けるのだろう」「何を残したいか」「自分のアイデンティティは?」こうした討論を通じて生徒に内在する自己と結びつけて、読書の楽しみを感じ、人生に対する認識を呼び覚ます。
小6から中1に上る段階では行動の転換に重心を置く。ポイントやコイン制度、奨励策といった刺激で学習をサポートする。だが徐々に学びそのものの楽しさを実感させ、中2では重点を「何を学ぶか」に移していく。詩のリズム、隠喩の運用、作者の言葉選びなど、その頃には生徒は学びに面白みを感じ、それが最大の動機にもなる。
事前の予習とグループ討論、そして先生からの問いかけによって文章の内容が深く理解され、図として具象化していく。