迎王・送王の儀式で文化伝承を
迎王祭での儀式は、古の皇帝に代わり欽差大臣が行う地方巡視に倣っており、厳格で繁雑だ。5つの部門に分かれた東隆宮祭典委員会では、千人以上を動員して祭典を執り行う。
東港東隆宮の潘慶士董事長は、「3年に1度の迎王祭は東港の人々にとっての一大事」と話す。今年は全国の廟から合計168チーム、246基の神輿が巡行に参加するという。祭典の初日には少なくとも8千食の弁当が用意されるほか、毎日信者向けに食べ放題の汁かけ飯が用意される。この食事には400キロ以上の米を使う。汁かけ飯は海鮮粥のようなもので、東港三宝に数えられるマグロや、サクラエビよりやや大ぶりの台湾紅蝦などの海鮮が入れられる。夕食時には出入り自由の宴会「流水席」が開かれることもある。
繁雑な「流水席」とそこで供される献立は潘董事長が計画する。だが最も驚嘆すべきは「108宴」の献立を考えた潘董事長の手腕だろう。
「108宴」とはその名の通り108品の料理のことで、一般公開されない「送王宴」で供される。「送王宴」とは、迎王祭の7日目の夜中に天に帰る前の王爺のために行う送別の宴だ。迎王祭の運営を担う「大総理」がその開催費用を負担し、36人の「内書」という担当者らを率いて代天府内で供物を捧げる。献立の考案者である潘董事長でさえ儀式の見学は許されない。だが、潘董事長が明かしてくれた話では、献立は山海の珍味を集めた豪華絢爛な「満漢全席」だという。
「請水」とは王爺を招くこと。海辺に行き、船で降臨する王爺を迎える。(提供:東隆宮)