方形と円形の遊び心:或者新州屋
最近、菊元百貨のカーテンウォールの内側に、外に見えるように昔の建物の写真が貼られている。この建物は大幅に改修して従来の華やかさを再現する予定だとも言われている。古い建築物の美の再現は確かに期待されているのだ。例えば、新竹の旧市街地で2023年末にリニューアルオープンした「或者新州屋」もその一つである。
「或者」という言葉を冠した「新州屋」の空間は、1934年に開業した新竹初の百貨店だった。初代の経営者は、東門市場で西洋の舶来品を販売していた戴呉獅である。
現在の所有者は「分散型ミュージアム」を中心に、長年にわたって新竹で活動してきた「或者」グループだ。会社を退職した創設者の陳添順は、新州屋の特殊性に注目し、古い建築物が再開発で取り壊されることのないよう、資金を投じてこの建物を購入した。
或者新州屋を運営する沈婷茹によると、この建物を買い取ったのは商業的利益だけが目的ではなかった。可能な限り古い建築物の華やかさを残すために、或者グループはまず歴代の所有者の話を聞いて回った。続いて「雄本老屋」に建物の調査と修復を依頼し、「硬是設計」と「水色設計」という二つのチームに空間設計を依頼した。これほどの手間と費用をかけることで、修復後の建物は新旧を織り交ぜた繊細さと調和を見せる。
近隣の東門市場の特殊性から、新州屋は食物と料理を主なテーマとし、食品販売、飲食店、シェアキッチン、展覧会場などを複合した機能を持つ。開業から半年、まだ方向性を模索中だが、よみがえった華やかな空間はすでに多くの人をひきつけている。
沈婷茹とともに建物の外へ行くと、4階建ての立面は完全に修復されている。1920年代以降に流行した十三溝タイル(筋面タイル)は洗浄を経て暖かな浅黄色を取り戻し、上には方形や円形の飾り窓があり、街灯や手すりはアールデコ調で、レトロな中にファッション性や遊び心を感じさせる。全体的に「当時の人々の洒落っ気が表現されています」と沈婷茹は言う。
屋内に入ると、外観と同じように階によって自由奔放に間仕切りがされている。新しい内装では壁に配された丸や四角の窓に合わせた設計が施されている。1階のバーカウンターは外側は円形で内側は四角く、2階の新しい灰色の壁にはわざと丸い穴があけてあり、その奥の古いレンガが顔をのぞかせる。3階の室内には古い建物のアーチとベランダの半月型の池が残されている。
屋上へ来ると、遠く南寮漁港まで望むことができ、かつて平屋ばかりの中に高くそびえていた新州屋の姿がイメージできる。沈婷茹によると、後にこの古い家屋を見に来た戴家の末裔の話では、彼らが幼い頃は、魚を飼っていた半月池の横にブランコがあり、また屋上を開放した有料のダンスパーティには200人余りが入場したこともあったそうだ。当時、台湾の裕福な層はかくも優雅で贅沢な生活をしていたのである。
最近、かつて菊元百貨店だったビルのガラス窓の内側には、プリントした昔の外観の写真が外から見えるように貼られ、この古い建物が昔の面影を取り戻すことを予告している。