没入型学習で華語を学ぶ
華流アイドルや台湾ドラマが好きだった彼女は、大学時代に中国語を履修したが、習った文法や単語は日常生活では使いにくかったと言う。
そのため、台湾に住み始めたばかりの頃はコミュニケーションに困ることがあった。買い物中にわからない単語があれば英語とボディランゲージに頼らなければならず、英語が話せない店員は手助けのしようがなかった。「でも、言葉が話せるようになると、みなさんが積極的に手助けしてくれることがわかりました」とキムさんは言う。このような明らかな変化が起こったのは、ふだんの練習に加えて、華語教育センターで基礎を身につけたおかげだ。
彼女が学んだ国立台湾師範大学の華語教育センターで使用されている教材には、台湾に入国する際の空港での会話や、夜市で食べ物を買う時に使う「~を一つください」など、日常生活で使う頻度が高い単語や文型、外国人学習者が直面するさまざまな場面で必要な表現が収録されている。
華語教育センター学務組の方淑華組長によると、基礎的な会話能力を身につけたら、夜市や市場など実際にその表現を使う場に行って、学んだ表現をどんどん使ってみるよう、教師たちは学生に働きかけているという。このような練習をして、はじめて学生たちは台湾生活に対応する力を身につけることができるからだ。
オンライン教育が普及した今日でもこのような「没入型学習」は依然人気が高い学習方法だ。
台湾華語教育資源センターの統計によると、台湾に語学留学する外国人学生数は年々増加しており、コロナの影響による一時的な減少もあったが、再び増加に転じて今では年間3万人強となっている。また一般的な華語コースや検定対策コースだけでなく、文化体験や校外活動などを通じて華語を学ぶ選択肢も増えている。
旅行で伸びる語学力
「タイでは台湾への留学や旅行を薦める人が多いんです。だから私も台湾に来ました」。台湾の大学院で理学療法を学ぶために、タイからやってきたスーフィチャ・サイビロンポーン(Supitcha Saiviroonporn)さんは、まず語学センターで華語を学ぶことにした。
「ひと月で自分の変化に気づきました」と彼女は言う。タイで1年半授業を受けたが、台湾ではずっと短い時間で上達したと感じられたのだ。
スーフィチャさんは華語の上達には旅行が非常に役立ったと語る。「私は観光案内に書かれていないようなところに行くのが好きなのですが、中国語が話せるようになったおかげで、よりディープな街歩きができるようになって、タイ人が知らないものを見られるようになったし、台湾の人とおしゃべりをする中で、それまで知らなかった人や物事についての知識も増えたんですよ」。
何度も繰り返し練習したおかげで、繁体字(正字)も難なく書けるようになったスーフィチャさん。